煙草味のキス。
「和子、和子」
「嫌だ」
「…まだ何も言ってないんですけど」
「どうせ、また男紹介してとかでしょ?」
今年で4年目の仲の沙由の言うことなんてお見通しだ。
「その通り!」
「沙由、男いたじゃない」
確か1つ上の学部が違う先輩だったはず。
「別れた。つーか、フラれた!」
「またか…沙由はどうしてそんなにフラれるの?」
沙由の恋人事情はいつも同じパターン。
相手からアプローチされて、恋人になったらすぐフラれる。
そして…
「あたしだって長く付き合いたいけど、無理なんだもん!
あいつが邪魔してくるんだもん!」
「おいおい、誰だよ。
こんなドブスを恋人にしてくれる奴から邪魔する奴は」
「あんたよ!あ・ん・たっ!もう!なんで緑はあたしの邪魔するのよ!」
「おい、和子。俺紅茶じゃなくて珈琲がいい」
「ちょっと!無視しないでよ!」
「また始まった…」
沙由が誰かからアプローチされてからここまでの流れはいつものこと。