煙草味のキス。


「和子、和子」



「嫌だ」



「…まだ何も言ってないんですけど」



「どうせ、また男紹介してとかでしょ?」



今年で4年目の仲の沙由の言うことなんてお見通しだ。



「その通り!」



「沙由、男いたじゃない」



確か1つ上の学部が違う先輩だったはず。



「別れた。つーか、フラれた!」



「またか…沙由はどうしてそんなにフラれるの?」



沙由の恋人事情はいつも同じパターン。

相手からアプローチされて、恋人になったらすぐフラれる。

そして…



「あたしだって長く付き合いたいけど、無理なんだもん!
あいつが邪魔してくるんだもん!」



「おいおい、誰だよ。
こんなドブスを恋人にしてくれる奴から邪魔する奴は」



「あんたよ!あ・ん・たっ!もう!なんで緑はあたしの邪魔するのよ!」



「おい、和子。俺紅茶じゃなくて珈琲がいい」



「ちょっと!無視しないでよ!」



「また始まった…」



沙由が誰かからアプローチされてからここまでの流れはいつものこと。


< 2 / 37 >

この作品をシェア

pagetop