煙草味のキス。
「うふふ、ありがとう」
レモンティーを受け取りながらつい、笑みが出る。
「あ?なんだよ」
「いや、緑は甘党だから兄弟でもそこは違うなって…」
和也は甘い物好きじゃなかったから。
あたしが笑ってそう言うと、緑は驚いた様な顔をして固まってしまった。
「どうしたのよ」
「いや、普通に和兄の話するから…」
「和也とあたしが別れてからもう2年だよ?当たり前じゃない。
和也の話くらいできるわよ」
「………じゃあ、話が早い」
一口ココアを口にすると、緑は真剣な顔をしてあたしを見た。
「和兄がお前と会いたがってる」
「…何で今さら」
つい持っているレモンティーを握り潰すくらい力が入る。
「明日、昼に迎えに来るって」
「は?和也今どこにいるのよ」
和也が大学を卒業して就職して少し経つと和也は点々と色んな所へ転勤するようになった。
「今は確か…どこだっけ?」
「あんた和也の弟でしょ?ちゃんと兄がいるとこぐらい覚えときなさいよ」
呆れてついため息が出る。