強引男子のイジワルで甘い独占欲
軽くからかうつもりだったし、勘違いしてる女子高生の会話もおもしろいと思って聞いていたけれど、眞木はどうやらそうは思っていなかったようで。
褒め言葉だとしても、やっぱりひそひそされるのは嫌らしい。
まぁ、今の場合、ちっともひそひそはしていないけれど嫌らしい。
相手、今をときめく女子高生なのに。
だから、女子高生の会話が「隣にいるのって彼女かなぁ」と、眞木の容姿についての話題から逸れたのはありがたかったけれど、新しい話題は話題でちょっと気まずい。
「一緒に映画きてラブストーリーだったら絶対彼女だろうけど、アクション映画だし友達とでも観るよね」
「でも、芸能人がツーショットとか撮られて雑誌に載った時とか“友達です”とか言いながら結局恋人じゃん」
「いやでも、友達だからこそ堂々とふたりで出かけてるのかも」
「違うよ、絶対彼女」
なんかチラチラ振り向かれるのも値踏みされてるみたいで正直もう嫌だし、その前に隣にいる眞木のおまえらうるさいんだよオーラがすごいから、いっその事違いますと会話に割り込もうかと思って様子を窺っていたけれど。
ひとりの子が言い出した言葉に、頭が真っ白になった。
「なんで絶対彼女とか言い切れるの?」
「だってさっきキスしてたから。エンドロールの終わり際。
私たちが座ってた二列くらい後ろに座ってたから、振り返った時たまたま見ちゃって」