強引男子のイジワルで甘い独占欲
ただしたかっただけ。
そう飄々と答える眞木に、まぁもうキスの事は追及しても仕方ないと頭を割り切る。
私だって大人の女だ。キスのひとつくらい見逃してやる事くらいできなくはない。
それに一番の問題はキスじゃない。その理由だ。
「好きって、愛とかそういう類の好き……?」
「愛? 正直まだそこまでじゃねーけど、佐野は特別だと思ってるし、もし佐野が他の男と話したりしてたらイラっとくるレベル……いや、イラっときて場合によっては相手の男殴るレベル」
愛って言葉はまだ重すぎる。
そう聞いて、その通りだなと変に納得する。
今の段階で愛なんて言うヤツはかなり胡散臭いヤツか頭のイタイ、ロマンチストのどちらかだと思うから、眞木の言う事は納得のいくものだった。
納得はいくけれど……だからって眞木の告白をすぐ信じるほどうぬぼれられない。
だって相手はあの眞木隼人だ。
社内どころか、映画館にいただけでカッコいいとか噂されるレベルの美貌の持ち主が、なんで私の事なんか……。
自分を卑下するつもりもないけれど、眞木を前にしたら私なんかってそうも思ってしまう。
「返事しろって言ってるわけじゃねーし、俺はとりあえず今まで通りいられたらそれでいいから。
だからおまえも変に意識して気とか使うな」
私が考え込んでいるのが分かったのか、眞木が言う。