強引男子のイジワルで甘い独占欲


「ねぇねぇ、今ここに来る途中ですごい話聞いちゃったんだけど、知ってる?」

隣のデスクに鞄を置きながら話しかけてきたのは、毎度の事ながら小谷先輩だ。
おはようございます、とまず挨拶をしながら隣を見ると、キャスタ―つきの椅子に座って身体ごと完全に私の方を向いている小谷先輩と目が合った。

噂を仕入れたばかりだからかニコニコしていてご機嫌な様子。
この人本当に噂さえあれば他に何もなくても生きていけるんじゃないのかと疑ってしまう。

「聞いてますよ。眞木と私の噂ですよね。
付き合ってるんじゃないかとかいうデマの噂の延長戦」
「それはもう何週間も前の話じゃない。
確かに佐野さんと眞木さんの事ではあるけど、それじゃないわ」
「えっ、違う噂が流れてるんですか? 
やっぱり付き合ってなかったっていう訂正の噂とか?」

だったら今までの噂も収束するだろうし助かると思いながら聞いたけれど、返ってきた言葉は収束どころか爆発させそうな内容だった。

「ううん。違うの。
眞木さんが、佐野さんとの付き合いを認めたからみたい」


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