強引男子のイジワルで甘い独占欲
え……と自然と声が漏れた後、しばらく何も言えなかった。
認めた? 眞木が? なんで?
いくつものハテナマークが頭の中をぐるぐる回ってから、これが噂だって事を思い出す。
元は眞木と私が付き合ってるとか、事実じゃない事が平気で広まっていたわけだし信憑性なんて皆無だ。
噂だ。ただの。小谷先輩が大好物なだけの、いつものやつ。
タイミングがタイミングなだけに一瞬信じかけてしまったけど、今回も前回に引き続きデマに決まってる。
びっくりさせないでよ、もう。
そんな文句を頭の中で呟きながらため息を落とす。
「嘘ですよ、それ」
「嘘じゃないわよ」
「……当人が嘘だって言ってるんだから嘘に決まってるじゃないですか」
「私だって当人から聞いたんだもの」
私が嘘だって言うんだから嘘だ。
だってそんな事実はないんだから。
それなのにちっとも引こうとしない小谷先輩を顔をしかめてみていると、先輩が続ける。
「さっき、ここに来る途中で眞木さんを見かけたの。
眞木さん、勇気ある女性社員に話しかけられて迷惑そうにしてたわ」