強引男子のイジワルで甘い独占欲


眞木の性格を考えればまぁ理解できない行動ではないなと一時落ち着いた気持ちが、考えて行くにつれまたふつふつと湧きあがる。

だって、隠れ蓑とか盾だとか人の事なんだと思ってんの?
好きだとか言ったくせに、完全に都合のいい女扱いじゃない。
いや、女扱いもされてない。都合のいい雨よけ扱いだ。

好きだって言ったくせに!
好きなら普通、周りから守るのが普通でしょ?! それを雨よけって!

怒りに任せて座ったまま机の下を蹴り上げると、すっかり存在を忘れていた隣の小谷先輩がびくっと身体を飛び上がらせる。

「よ、余計な事だった……? ごめんね?」
「あ、いえ。ちょっと足がむずむずして動かしてたらうっかり蹴っちゃって」
「あ、なんだ、びっくりした~。
佐野さんが怒って自分を制御できなくなって蹴ったのかと思っちゃった~」
「まさか。会社の備品ですよ。壊して弁償なんかしたくないですし」

実際はイライラを吐き出すためにわざとした事だけど、弁償はしたくない。
それにか弱い女の蹴り一発で机がどうにかなるとは考えにくいし、せいぜい少し凹むくらいだ。
今は見渡す限り課長もいないしチクるような陰険そうな社員もいないし問題ない。

「でも怒ってるみたいに見えたから」
「怒ってなんかないですよ。別に眞木が私をどう思っていようと関係ないし……」


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