強引男子のイジワルで甘い独占欲


怒ってやる!
私のその固い意思も、こんな不機嫌マックスな眞木を前にシュワシュワと音を出してしぼんでいってしまう。

どうしたんだろう……。この機嫌の悪さは過去最高レベルかもしれない。
目を合わせたりしたら声とか奪われそうだ。
もちろん、声を失うっていう一瞬の状態の事じゃなくて根源からの話で、原因を言えば呪いとかそんなのだ。

それぐらいの眼力と雰囲気をまとった眞木が私の前の椅子を引いてドカっと座る。
機嫌悪い?なんて疑問は不必要なほど一目瞭然に気分を害している眞木にかける言葉を探す。

「なんか……機嫌悪い?」

だけど、こんな眞木相手に何か別の話題を振ってもそれこそ地雷を踏んでしまう気がして、結局出てきたのはストレートな疑問だった。
しかもかなり気を使ってのトーンの、完全なる下手。
もうこうなってくると最初の怒りがきれいさっぱりどこに姿を消したのか気になるほどに下手だ。

逆に言えば、それくらい眞木が不機嫌を身体全部で表現しすぎてるんだけど。

眞木はやっぱり機嫌悪そうに頬杖をついて二、三席離れた机の上を睨むようにしていたけれど、私の問いにゆっくりと視線をこちらに向けた。

第三者には、“じろ”と“ひぃ!”って感じの効果音が見えたと思う。
コメディ漫画かっ感じのやつが。


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