強引男子のイジワルで甘い独占欲
だって相手はあの眞木なんだからと、私なりに覚悟を決めてその日を終えたのだけど。
噂が出回った初日だからか、みんな牽制しあったのか、特にこれといった嫌がらせはされずに会社を脱出する事ができた。
ベタな嫌がらせとして、ロッカーがゴミまみれとか剃刀入り不幸の手紙とか、画鋲とか。想像してただけになんだか拍子抜けだ。
でもまぁよくよく考えてみれば、会社にいる人はみんな大人だ。
いくら好きな男が他の女と付き合い出したところで、そんな子どもじみた事をしようと思う人なんていないのかもしれない。
それでも用心しとくにこした事はないと思いながら翌日も出勤したのだけど。
翌日もその次の日も、特に私への嫌がらせみたいなものはなく、予想外にも平和な毎日を送れる事となった。
ただ一点、課長からのお叱り効果が薄れてまた騒ぎ出した小谷先輩からの質問攻撃を除けば。
どうしても気になるのか、どっちからどんな風に告白したんだとかしつこく聞いてくるもんだから、どうにか話を逸らせられないかと作戦を練っていて、そういえばとここ数日気になっていた事を思い出す。
そして、噂好きの小谷先輩ならもしかしたら知っているかもしれないと、飛んでくる質問を払いのけてこちらの質問をぶつけた。
職場の先輩相手に失礼かもしれないけれど、小谷先輩なら話も別だ。尊敬はしてるけど……うん。別だ。
「そういえば、眞木ってそんなに人気なかったんですか?」
突然の私の問い掛けに、先輩は首を傾げながらも「そんなハズないじゃない」と答えてくれる。