強引男子のイジワルで甘い独占欲


「でも、私と付き合ってるって噂がこれだけ出回ってるのに、私特に嫌がらせとか受けてないんです。それが不思議で」
「ああ、それはだって、眞木さんが言ったからでしょう?」

「言ったって何を?」と聞き返すと、先輩は知らないの?と言った口ぶりで言う。

「佐野さんとの噂が広まった初日に、太田さんが眞木さんに本当かどうか聞いたのよ。
あ、太田さんって秘書課のね。眞木さんを狙ってる中心核の」
「ああ、そういえば太田さんが眞木を好きだとかって噂ありましたよね」
「その時に、眞木さんがそうだけどって答えた後、あいつに何かしたらぶん殴るって噂を女性社員の間で流しておけって言ったんだって」
「ぶん殴る……」

本当にしそうだから怖い。
そう思いながら苦笑いを浮かべていると、小谷先輩が続ける。

「カッコいいわよねー。私今まで特に眞木さんをどうこう思った事なかったけど、それ聞いてからすっかりファンになっちゃった。
ただ外見がいいだけなのかなって思ってたのに、好きな子をそんな風に守れるなんて素敵よね」

「ねっ」ともうひと押しされて、曖昧に笑って視線を逃がした。


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