強引男子のイジワルで甘い独占欲


「とりあえず行くか。腹減った」

そう言って不意に私の手を握った眞木を驚きながら見上げると。
「なんだよ。文句あるか」と顔をしかめられる。

その態度が眞木の照れ隠しだと分かって、おかしくなって思わず笑みがこぼれた。

「なに笑ってんだよ」
「なんでもないよ。それより何食べる? 先に言っておいてもらわないと、眞木のナビゲーションだと永遠に辿りつかないし」
「俺は方向音痴じゃねー」
「はいはい。で、何がいいの?」
「おまえは?」
「んー……あ、駅東口にできたオムライス屋さんがおいしいって言うからそこ行ってみたいけど、でも眞木の食べたいもので……」

言い切らないうちに眞木が繋いだ手をくんと引いて歩き出す。
そして前を向いたまま「おまえが食べたいもんでいい」といつものぶっきらぼうな感じで言った。

強引な優しさに、ストレートな言葉。
眞木は一般的に言えば俺様だし、無愛想だし口も悪いけど。

それでも大丈夫だ。
だって、手を繋いでるだけで胸が騒がしいから。

繋いだ大きな手にドキドキと心地よく高鳴る胸が、まるで、恋だって私に教えているみたいだった。


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