強引男子のイジワルで甘い独占欲



こうなってみてから改めて考え直すと、眞木への気持ちは少なからずあったのかもしれないとは思う。
と言っても、告白されてからって話で、それ以前は本当に気のおける同僚って感じにしか捕えていなかった。

それがこんな風に転ぶのだから、人生って分からないものだとつくづく思う。
たかが24の私につくづく思われるほど人生は浅いモノではないんだろうけど。

「ちとせ」

眞木と付き合う事になって二週間ちょっとが経った金曜日。
一緒に夕飯を食べに行く約束をしていた眞木を、会社を出て少し歩いたところで待っていると声をかけられた。

知っている声に顔を上げると、そこには慎司がいて。

「仕事の帰りですか? 三坂さん」

そう返すと、敬語にだか名字呼びにだか分からないけれど、慎司は少し顔を歪めた。

「もう名前で呼ぶのはやめてくださいね。誤解されますから」

慎司が顔を歪めた理由は分からないけれど、むしろ別れてるのにまだ名前で呼ぶ方がおかしい。
今の関係は、同じ会社の社員ってだけなんだから。

第一、別れを告げたのは慎司の方なんだから、他人行儀に顔をしかめられる理由なんてない。
しかも今は社外だ。
仕事以外で話しかけてくるなんてどういうつもりでいるんだろう。

なんだか慎司が勝手に思えてしまってイライラして口調が強くなってしまう。


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