強引男子のイジワルで甘い独占欲
「本当だったのか……」
「はい。……そういう事なので、三坂さん。仕事以外で話しかけてくるのはもうやめてください。
もし見られたりしたら朋絵もいい気持ちしませんから。
大事にしてあげてください」
「……ああ。分かった。じゃあ……眞木さんによろしく」
そう言って去っていく慎司の背中が、道を行き交う人ごみの中に消えていくのを見送りながら、本当に用はなかったのかと不思議になる。
さすがに用事もなく話しかけてくるような無神経な事はしなそうなのに変だ。
私が冷たい態度を取りすぎたせいで気を使わせたのかもとも思ったけれど、私の性格なんて慎司は知っているだろうし……。
まぁでも、話があっても大した話じゃなかったのかも。
どうしても言わなきゃならないような事ならまた言ってくるだろうし、まぁいいか。
そんな風に自己完結して、すっかり見えなくなった慎司から視線を戻して……目の前に立つ眞木に気づいた。
気付いたというか、びっくりした。
真横を向いていたから分からなかったけれど、眞木は本当に目の前に立っていたから。
しかもおっかない顔を見ると、どうやら慎司と話していたところを見ていたんだなと予測する。
無言の威圧が怖い。まるで狂犬だ。噛み殺されるかも。