強引男子のイジワルで甘い独占欲


「言っておくけど、会社帰りの三坂さんがたまたまここを通りかかって、一言二言会話しただけだから。
あともうひとつ言っておくと、私、あまりに嫉妬深い男は嫌いだから」

先手必勝。
狂犬みたいになってるとは言えど、眞木は私が好きなハズだ。

その私から度を超えた嫉妬は嫌いだなんて聞けば態度を改めるかもしれない。
狂犬だって、飼い主には従順なハズだし。

本当は、妬かれてもそこまで気にならないしむしろそんなに私が好きなのか可愛いなってなるけど、時には嘘も大事だ。
嘘……っていうか、今の場合はハッタリに近いけど。この場からどう逃げようか考えてひねり出したハッタリ。
付け焼刃もいいところだとは思ったけれど、他に狂犬回避策が見つからないから仕方ない。

だから、牽制のつもりで強い意志を持ってチラっと見上げてみたけれど……。
眞木は視界を塞ぐように私の前に立って睨みつけているままだった。

「それがどうした。今おまえが嫌いな男の話はしてないだろ」
「してるじゃん! 元カレと本当に少し会話しただけなのに眼力で抹殺しようとしてるでしょ!」
「するわけないだろ。少年漫画じゃねーんだからできるわけないだろ。バカなんじゃねーの」
「本気なわけないでしょ! 眞木がおっかない顔して睨んでくるからそれを例えただけだし!
……もういいから、三坂さんとはただ挨拶した程度だしそんな怒らないでよ」


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