強引男子のイジワルで甘い独占欲


ね?とお願いするように言いながら眞木の手にそっと触れる。
今日は一応デートってなるわけだし、私だってそれなりに楽しみにして仕事を終えたんだから、雰囲気が悪いままなんてごめんだ。

だからどうにかして機嫌を直さないと、と、食べ物でつるかバッティングセンターとか行って褒めちぎってみようか、色々考えていたのだけど。
見上げる先で、眞木は一瞬困惑した顔を見せてから真顔に戻った。

しかもちょっとご機嫌寄りの真顔だ。

「別にもういいけど」

急変の理由を考えて、もしかしたらこの手だろうかと触れたままの手をじっと見つめてみる。

たかがこれだけの事で機嫌が取れたって事?
私がちょっと触ったくらいで、あの機嫌の悪さを払拭するほど嬉しかったの?

この間だって手繋いだし、初めてじゃないのに。

なんだか拍子抜けして笑えてきてしまう。
この男、なんでこんなに単純で子どもみたいなんだろう。

「なんか……眞木って本当に私の事好きなんだね」

思わずそうもらした言葉。
照れ隠しで、そんなんじゃねー!って怒られるかと思ったけれど、怒鳴り声は聞こえてこなかった。

「だからそう言ってんだろ」

俺様で真っ直ぐで強引で。
でもどこか憎めなくて可愛いと思ってしまう。

私を好きだと口にする事に何も抵抗のない様子の眞木は、恥ずかしくなって目を合わせられなくなった私を不思議そうに見ていて。
その視線から逃れるように、眞木の手に触れたままの手を握り直してそのまま引っ張って歩き出した。

< 151 / 226 >

この作品をシェア

pagetop