強引男子のイジワルで甘い独占欲
「お腹すいた」
私に連れられる形で歩き出した眞木だったけど、数歩で私に追いついて隣を歩き始めた。
一方的に私が握っていた手を握り返されて、今更ながらなんだか恥ずかしく思っていると、上から何が食べたいか聞かれる。
「色気ない事言ってもいいなら居酒屋とか行きたい。
厚揚げを香ばしく焼いたヤツとかやきとりとかサラダとか一品料理食べたい」
恥ずかしいとかいいながらこんな事言えちゃうのもどうかと思うものの。
本当に眞木相手だと友達みたいで気を使わないから不思議ではあるけど、気が楽だ。
ただ、友達以上の関係にある今、その関係についてはちょっと戸惑いがあったりするけれど。
繋がれたままの手のせいで、歩き方がぎくしゃくしちゃっているのは自分でも分かるほどだし。
そういえば。
この間も思ったけど、社会人になってから、こんな風に手を繋いで歩いた事ってなかったかもしれない。
社会人に限らず学生の時を合わせたって、両手で足りるほどだと思う。
私の性格のせいなのか、オーソドックスないちゃつき方って苦手だったし、人目があるところでは絶対に嫌だと思ってたから。
だけど、今こうしてみると……そんなに悪くはないのかなと思えなくはない。
恥ずかしいしドキドキするけど、安心する。
眞木の存在を感じて、ホっとする。
「じゃあ居酒屋行くか。でも金曜の夜だと混んで……。
なんだよ、手がどうかしたか?」
繋いだ手をじっと見つめていたからか、眞木にツッコまれる。