強引男子のイジワルで甘い独占欲
「おいしい」
「当たり前だろ。素材そのままでほとんど味付けもしてないんだから」
「でも、私にはできないし。
なんかもう私の身体の半分くらい眞木の作ってくれたご飯でできてる気がする」
別にそこまで意識していたわけでもないけれど、思わず自虐みたいな言葉が口をつく。
せっかく作っておいてもらって凹むのも失礼だとハっとしたけれど、眞木は気にしていないみたいだった。
「別におまえができなくても俺ができるんだからいいだろ」
だとしても、常に一緒にいるわけでもないし、私だって少しくらいできた方がいいに決まってる。
それなのに、眞木があまりに当たり前のように言うから、何も言い返せなくなってしまった。
本当に自分勝手な考え方というか……純粋な俺様人間だと呆れて笑ってしまう。
それでも眞木のそういう態度にイライラしたりしないのは、それ以上の魅力が眞木にあるからだろうか。
それとも、もう俺様な部分さえも魅力のひとつに入り込んでしまってるからだろうか。
だって眞木の俺様具合って私に甘くできてるから。
今の言葉だって、料理は俺ができるんだからおまえはできなくても問題ないって事だし、そんなの完全に私を甘やかしているとしか思えない。
「確かに眞木と付き合ってる間はそれで問題なさそうだけど」
何気なく言った言葉に、眞木の鋭い眼力が発動するから。
「深読みしないでよ。確かに言葉がちょっと悪かったかもしれないけど、別に眞木と別れるのを前提に付き合ってるとかじゃないんだから」
眞木が私の言葉をどうとったのかが分かってすぐにフォローする。
本当になんてことなく言っただけだったのに。
いちいち気に留める眞木がなんだか……可愛く思えてくる。