強引男子のイジワルで甘い独占欲
「大体、遊び相手に眞木選ぶなんて恐れ多い事できないでしょ」
「なんでだよ」
「眞木、自分がどれだけ人気あるか分かってる?
会社中の女子社員の注目の的なんだよ。その眞木と付き合うなんて、覚悟決めなきゃ無理に決まってる。
昨日今日は定時上がりで逃げてきたけど、来週からきっと私色んな嫌がらせの対象になるハズだもん。
いくら眞木が睨み利かせてくれてても、それでも諦められない人がきっといるだろうし」
私としたら一大事なのに。
眞木はさっきまでの不機嫌を取り消して、満足そうに笑う。
「つまり、おまえはその覚悟を決めたって事か」
「だって眞木がぐいぐいくるから」
「弁当で買収されたくせによく言う」
「人聞き悪い事言わないでよ」
「事実だろ」
「事実じゃないでしょ!」
「だって佐野、俺の事好きだとか言わないだろ」
このまま口げんかに突入しそうになった時、眞木の言葉がそれを止めた。
眞木は決して怒鳴ったわけでもないし、怒っている様子もないし、口調はむしろ冷静だ。
それに顔だってしかめているわけでもなんでもないし。
ただ……若干不貞腐れている気がするのは気のせいだろうか。
眞木は割と無表情だ。
だけど、無表情は無表情でもその中に混ざった少しの感情を見つけ出すのがうまくなったのは、眞木と一緒に過ごした時間のたまものだと思う。
もしかしたら、私がそれだけ眞木をよく見ていたって事かもしれない。