強引男子のイジワルで甘い独占欲
もしも本当に勧誘だったら怒鳴りつけそうだけど大丈夫だろうか……。
そんな心配をしつつも、今までしていたキスの余韻というか後遺症みたいなものにはぁーっと深いため息をつく。
危なく流されるところだった。
私だってもう一応大人だし、部屋まで来てもったいぶるつもりもないけれど……それにしたってまずかった。
キスだけでわけが分からなくなるほど思考回路をやられた事なんて今までなかったのに。
今までしていたキスと、眞木の香りや妖美な笑みを思い出すと、穴を掘りたくなる。
だけどそんなわけにはいかないから、眞木が部屋に戻ってきた時、少しでも冷静でいられるようにと深呼吸を数回していた時。
眞木が玄関を開けた音がした。
そして聞こえてきた声に、耳を疑った。
「眞木さん……突然ごめんなさい」
私の場所からは玄関は見えない。でも……二十年以上聞いてきた声なんだから、間違えるわけがない。
間違いなく朋絵の声だった。
「ここ、どうやって調べた? 木原を呼んだ事はなかったハズだけど」
眞木の声に怒りが含まれている気がするのは、恐らく私の気のせいではないと思う。
行為を中断された事に対してか、アポなし訪問に対してかは分からないけれど。
黙ってしまった朋絵に、眞木が続ける。