強引男子のイジワルで甘い独占欲
「まぁ、いいけど。どうせ社内名簿から抜くなりしたんだろ。社内の人間にここを教えた事ねーし。
で、何の用?」
「あの……私、眞木さんにどうしても謝りたくて……」
朋絵の言葉を聞きながら、ああそういえば眞木は一応朋絵に振られた事になるんだっけと思い出す。
あのショッピングモールで、私と一緒に恋人に裏切られたんだ。
でも、眞木は元から朋絵に気持ちがあったわけじゃないとか言うからもうお互い様だなんていうのは私の勝手な考えで、朋絵からしたら確かに謝らなくちゃいけない行為ではあったと思う。
仮にも付き合ってる人の前で他の人を選んだわけだから。
今謝りにくるって事は、眞木と朋絵の関係はあのショッピングモールでの事以来ずっとあのままだったのかと少し不思議に思った。
謝るならもっと早くてもよさそうなものなのにと。
慎司はあの場で謝って朋絵を選んだ事を私も一応了承したからそこで関係は終わっていたけど、朋絵はあの時眞木と何も話さなかったわけだし。
今更の謝罪に不思議に思いながらも、眞木の事だから一蹴してすぐドアを閉めちゃうんだろうな、なんて聞き耳を立てていると朋絵が続ける。
「あの後、ちーちゃんと付き合い始めたって噂で聞いて……本当なの?」
「本当だけど」