強引男子のイジワルで甘い独占欲
なんだろう。
言ってる事はそれほど間違ってるとは思わないけど、なんとなく素直に受け入れられない。
眞木隼人の言う“優しさ”が心からの善意に感じないからだろうか。
そうは思うけど、眞木隼人の言うとおりなだけに、そのまま帰るわけにもいかなくて。
顔をしかめながらも、お礼か謝罪って何、と聞くと、だから飯と即答された。
そういえばラーメンがどうのって言っていたかもしれない。
「眞木隼人にラーメンを奢れって事ね」
優しさの押し売りは800円もするのか。
強面の人のする訪問販売みたいだな。さっきモデルでやっていけそうとか思ったけれど、訪問販売の方が向いているかもしれない。
主婦層でも相手にして布団とか売れば顔だけでノルマ達成できそうだし、無愛想な強面を利用すれば顔で落ちなかった客も脅せるし。
工務グループで現場作業するよりも合ってるんじゃないかと呆れながら考えていると、また歩き出した眞木隼人が言う。
「別に奢れとは言ってない。ただおまえと食べてみたかっただけで」
「……さっきから思ってたんだけど、おまえとか呼ばないで。
上から言われてる気分になる」
追いついて隣を歩きながら見上げると、眞木隼人の視線が私に落ちる。