強引男子のイジワルで甘い独占欲


ぴしゃりと言い切った眞木。そのまま少し沈黙が流れてから朋絵の声が聞こえてきた。
声が震えて聞こえるから、緊張しているのか……もしかしたら泣いているのかもしれない。

「私、三坂さんにそそのかされて……眞木さんと付き合ってるって言ったのに、全然諦めてくれなくて……。
眞木さんも私にあまり優しくしてくれたりしなくて不安になってた時だったから、それで流されてあんな事になっちゃって……」

思わず耳を疑いたくなった。
慎司にそそのかされたとか、その辺の事は私は知らないから本当なのかもしれない。
でも……私の知る限り、慎司はそんな人じゃないのにと、無意識に顔をしかめていた。

朋絵に惹かれたとしても、慎司はそれを素直に伝える人だ。
そそのかすなんて事ありえないのに、なんでそんな言い方……。

「後悔してるの、あの時、三坂さんに言われるまま流されちゃった事……っ。
私本当は今でも眞木さんの事が好きなのに……」

顔をしかめたまま、微動だにできなくなる。
朋絵が何を言ってるのかが分からなくて。

『顔だけでしょ、眞木さんて』
そう言ってたのに、好きってなに――。

「眞木さんが、好きなの……」
「だから?」

冷たい笑いを含んだような声にハっとしていると、眞木が言う。



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