強引男子のイジワルで甘い独占欲
「あ……なんかごめんね、うちの従兄妹がお騒がせしちゃって」
「佐野のせいじゃないだろ」
「そうだけど……」と呟いたまま、何も言えなくなってしまう。
聞いた話が衝撃的過ぎて、頭の中が何から処理すればいいのか分からず混乱していた。
でも、眞木の言っていた事は事実だろうから、それを全部受け入れればいいだけの話だけど……それが難しくて、困難な作業だった。
つまり、朋絵は眞木も慎司も好きじゃなくて。
眞木を彼氏にしたのも、慎司に取り入ったのも、全部は私を悔しがらせるため。
そして眞木がそんな朋絵の告白に応えたのは……と、そこまで考えて、顔をしかめて眞木を見た。
「眞木、人の修羅場とか興味あったの? そんなもの見たさに朋絵の告白受けるなんて、らしくなくない?」
不思議に思って聞くと、眞木は飄々として答える。
「ああ、だっておまえが三坂の相手だって知ってたし」
「……え? 知ってたって、なんで?」
「前から知ってたんだよ、佐野の事。
バレンタインやらで女にチョコだかを渡されてた時に、すげー迷惑そうな顔でその横通って行ってたりしてただろ」
「ああ……そんな事もあったっけ」
「俺もああいうイベントばかばかしいって思うタイプだったけど、さすがにあそこまで露骨に態度に出されるとイラっとしたからよく覚えてる。
なのに、その日の帰りに会社帰りに見かけた時には、自分もしっかりチョコ渡してやがるし。
それ見て、付き合ってる男にだけはああいう顔見せんのかって思って、それからなんとなく佐野の事見てたら、いつの間にか佐野の姿を目で追うのが日課になってた」