強引男子のイジワルで甘い独占欲
「ねぇ、どこに向かってるの? ここさっきも通ったよね。
まさかだけど、迷ってる?」
いくら広いって謳っていても、たかがショッピングモールだ。広さなんてたかが決まってる。
そんな中でまさか?
だけど、ここはどう見てもさっき時計を確認したショップだ。
どこのラーメン屋に向かっているのか分からないけど、二度も同じ場所を通るのはどう考えたっておかしい。
そんな事しないと辿りつけないような構造はまずありえないと思う。
ここが運動不足解消だとかメタボ脱出とかをキャッチフレーズに掲げたショッピングモールでもない限り。
例え迷うにしても、初めて行くお店なら話も分かるけど、眞木の口ぶりからすると何度か行ってるお店だ。
だから失礼だとは思いながらもそう聞くと、眞木は私を見る事はしないで眉間にわずかにシワを寄せた。
まさかの肯定だ。
「え……そうなの? 今、迷子なの?
この建物内にあるラーメン屋さんに行きたいだけなのに?」
「うるせーな。苦手なんだよ、こういう同じような店ばっかが並ぶ場所が」
「でも位置関係くらい分かるでしょ? 飲食店ってどこもまとまってるし。
しかも何度か来たんでしょ?」