強引男子のイジワルで甘い独占欲
――朋絵ちゃんの方が女の子らしい。
――朋絵ちゃんの方が物腰が柔らかい。
――朋絵ちゃんの方が性格が穏やか。
私が、朋絵が自分よりも上回っているって意味合いの言葉ばかりを覚えているのと同じで、きっと朋絵はその逆で、私を褒める言葉ばかりを記憶しているのだと思う。
そして、いい歳した大人が子どもの話題を出すしか時間を潰せないなんて哀れだなとか、手ごまみたいに我が物顔で親戚の子の批評ってどれだけ自分を偉いと思ってんだとか。
中学の頃には既に勝気にひねくれ、そんな風に親戚の大人を卑下していた私とは違って、朋絵は素直に大人の言葉をそのまま聞き入れ耐えてきたんだろう。
そういう部分の要領がいい私が適当にはいはい、くだらない~なんて右から左に流していた言葉を、朋絵はひとりで耐えてきて……だからあんな風に爆発してしまったのかもしれないなと、井川さんの話を聞きながら思った。
静かな風が井川さんの短い髪を揺らすのを、朋絵の事を思いながらぼんやりと見ていた。
「私、隼人くんに言ったんです。ちゃんと本心言えるような女に変わるから、別れるのは待って欲しいって。
必死になってお願いした私に、隼人くんはそういう問題じゃないって言ったのに……結局は佐野さんみたいな人を選んだ。
私だって、この三年間ずっと変わる努力をしてきてここまで変わったのに……っ」