強引男子のイジワルで甘い独占欲
きつく睨みつけてくる井川さんに、まるでこの間の朋絵だなと思う。
社内にも関わらず、眞木の事や慎司の名前を挙げて、挙句、私の事を嫌いだと怒鳴るように言った朋絵みたいだ。
――ずっと努力してきたのに。
多分、その言葉は井川さんにも朋絵にも言える事なんだ。
人知れずただ努力してきたのに、ちっとも思い通りにいかなくて、それで感情をコントロールできなくなって。
やるせない気持ちに、耐え切れなくなってしまったんだと、その気持ちが分からなくもないだけに対応に困ってしまう。
冷静に考えれば、だからといってそのやるせなさを誰かにぶつけていいのかだとか、それを受け止める役がなんでいつも私なのかとか思ったけれど。
両方とも私が悪いのかって言われればそうではないとしても、関係ないとは言い切れない。
親戚関係しかり、眞木関係しかり。
それに、気持ちも分かるからこそ、こちらまで悲しくなってしまってどんな言葉を返せばいいのか迷う。
眞木ではなく私を待ち伏せした井川さんは、私に何を言いたいんだろう。
そう思いながら見つめる先で、睨むように見ていた井川さんが何かに耐えるように目を伏せる。
そして、ガバっと頭を下げた。