強引男子のイジワルで甘い独占欲
「私、また隼人くんとやり直したいんです。
この三年間、違う人とも付き合ったりしたけど、ずっと隼人くんが忘れられなかった……。
性格だって変わったし、今の私ならきっとうまくいくハズなんです」
「い、井川さん、頭上げてくださいっ。ここ会社の前ですし、社員が通りかかったりしたら変な目で見られますから!」
思いもよらぬ行動に出た井川さんに、どうにか頭をあげてもらえないものかとワタワタしながら、誰も通りかかりませんようにと祈り周りを見渡して……会社の出入り口近くに立っている人影に気付いた。
そんな私をよそに、井川さんが続ける。
「佐野さんは、ハキハキしてて女々しくない人だって、この会社の人に聞きました。
今の私なら、佐野さんと同じような性格だし、隼人くんだってきっと――」
「例え井川が佐野と同じ性格になったところで、俺は井川を好きにはならない」
本当にこれを言ったのが、数日前ベッドで甘い台詞を吐いた男と同一人物だろうかと耳を疑ってから、ああでも本来の眞木はこっちであってベッド上での発言がイレギュラーだったのかと思い直す。
私が慎司に振られた時といい、この間の朋絵の時といい、本当に眞木は言葉をオブラートに包まず刃みたいな鋭さのままぶつけてくるから怖い。
眞木の言う言葉は嘘がないから、余計に。
驚いた表情を浮かべた井川さんを見ながら眞木が近づく。
私の隣に並んだ眞木に、井川さんは目を見開いたまま「なんで……」と呟くようにもらした。