強引男子のイジワルで甘い独占欲


「私は、やっぱり隼人くんが……」
「俺、井川に変われなんて言った覚えないけど。
それに、別れたのだって、それだけが原因じゃねーし」

井川さんの告白を遮った眞木が続ける。

「確かに何も言ってこないだとかそういう部分はきっかけにはなったかもしれない。
けど、一番の原因は俺の気持ちにあった」
「気持ちって……?」
「何も言ってこない井川に気付きながらも、だからって俺から聞いて井川の気持ちを知ろうとも思えなかった。
このままだと別れる事になるって分かってたのに、俺から踏み込んで関係を改善させようって気になれなかった俺の問題だ」

はっきりと言う眞木に、井川さんはショックを受けた様子で、「私の事、好きじゃなかったの……?」と聞く。
消え入りそうなほど、小さな声だった。

「俺は、好きじゃないヤツとは付き合わない。
井川は真面目だし俺も好感持ってたから井川に好きだって言われた時、頷いたんだし。
でも、付き合っていた中で気持ちがでかくなる事はなかった。
人としては好きだけど、異性として見る事ができなかったのかもしれない」
「女としては、好きになれなかったって事……?」

眞木は少し黙った後、「まぁ、そうだな」と井川さんの言葉を肯定した。

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