強引男子のイジワルで甘い独占欲



「明日はこの噂で持ちきりかなぁ……。まったく、眞木と関わってから噂が絶えなくて嫌になっちゃう」

明日出社した瞬間から遠くの方でコソコソされて、課についたらついたで隣の小谷先輩に本当かどうか聞かれるのが目に見えてため息を落とす。
そんな私に、隣を歩く眞木は「俺のせいじゃねー」と言って睨んでくるから、じっと睨み返した。

「……そうでもないと思うけど」
「なんでだよ」
「ここ数日でふたりも女泣かせてるのを目の当たりにしたらそうも思うでしょ。
まったく、こんな男のどこがいいんだか」

ケンカ腰にもとれる事を言いながら、スタスタとひとりスピードを上げて歩く。

態度が悪いのは分かっていた。
けれど……なんていうか、こう、胸の奥がもやもやしていて。

「おい」と、早足で歩く私の腕を眞木が掴んだけれど、それを軽く払いのけて歩き続ける。

「俺様だし自己中だし、傷つく事ズバズバ言えちゃうし。えっちだってしつこいのに」

イライラする。
何がこうも私をイラつかせるのかはなんとなく分かっていたけれど、気付かない振りをした。

認めてしまったら、眞木に「ふーん」とかにやにや笑われそうだから。

もっとも……鈍感ではない眞木には、私のこの態度の悪さがどんな感情からきているものなのかはバレてしまっているかもしれないけれど。


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