強引男子のイジワルで甘い独占欲
「無言で睨まれると気になるんだけど」
「さっきあれだけ泣いてたのに化粧って落ちないもんなんだな」
「そんなところ見てたの? 一応マスカラはウォータープルーフのだしそんな簡単には落ちないでしょ。
号泣したわけでもな……」
「号泣だったろ。あれはどう見ても」と、私の言葉を遮った眞木が続ける。
「つーか佐野、その前に化粧薄くないか?」
「薄い……まぁ厚い方じゃないけど……なに? さっきから。
メイクに興味あるの?」
ずっとじろじろ見たまま会話を進める眞木に耐えきれなくなって顔をしかめて聞くと、眞木は尚も見つめたまま答える。
「興味はないけど、俺の周りには化粧濃い女ばっかだったから佐野の手抜いた化粧が新鮮だっただけ」
……目、逸らしてよ。
人と目を合わせないで話すっていうのが失礼なのは知ってるけど……こんな穴が開くほど見つめられての会話も結構失礼なんじゃないのと、苦笑いがもれた。
だけど、失礼なのが視線だけじゃなく言葉もだって事に気づいてハっとして言い返す。