強引男子のイジワルで甘い独占欲
ちゃんと慎司に伝えようと決めたのは自分なのに。
きっと傷ついている慎司の心を思うと、なんでこんな事しちゃったんだろうと思えてくる。
好きな人が自分を利用していただけなんて……酷すぎる。
私だったらきっと、慎司に別れを告げられた時みたいに、しゃがみ込んでしまうかもしれない。
「私がこんな事言ったところで、もしかしたらただの負け惜しみで言ってるとかそんな風に思うかもしれないし、どう捕えるかは三坂さんに任せる。
でも……知っちゃった以上、黙ったままは嫌だったから。
三坂さんのためにも……朋絵のためにも」
私が何を言ってもそれは慎司を傷つける結果にしかならないかもしれない。
だけど、覚悟を決めてきたのだから、中途半端に終わらせるのだけは嫌で。
伝えようと決めていた事だけは全部伝えたかった。
それを慎司がどう捕えようとも、そこは今回私が考えるべき範疇じゃない。
「第三者が口出す事じゃないのは分かってる。
だから……余計な事言ってごめんなさい」
頭を下げた私に、慎司はすぐに頭を上げるように言う。
ゆっくりと視線を上げていくと、困り顔で……でも、穏やかな顔で微笑む慎司と目が合った。
その顔を見て、なんだか不思議に思う。
私と付き合ってた時は、ケンカしたりしてもただオロオロしてただけなのにって。