強引男子のイジワルで甘い独占欲
「ただ……落ち着いたら、三坂さんとの事をちゃんと考えてあげて欲しいの。
私への憎悪だとかそういう気持ちだけで三坂さんを利用したのに、それを知っても朋絵を支えたいって言ってくれるなんてよっぽどだし。
悪い人じゃないから、断るにしてもちゃんとしてあげて」
行こう、と眞木を立たせて自分も立って……それから、俯いたままの朋絵に、最後にもうひとつだけ問い掛ける。
「最後にひとつだけ聞きたいんだけど……私、朋絵にそこまで嫌われるような何かをした?」
ずっと、不思議だった。
嫌われた理由が。
だから、もしも決定打とかきっかけがあったなら……と思って聞いたのだけど。
朋絵は俯いたまま静かに首を振った。
どうやら、知らず知らずのうちに何かをしてしまったわけじゃないらしくてホっとする。
「そ。ならよかった。知らないうちに何かしてたならどうしようかと思った」
じゃあ、とふたりに挨拶をしてから背中を向けて歩き始めると、眞木が手を握ってきて。
まだ店内だしいつもなら恥ずかしがってるところだけど……今日ばかりはそっと手を握り返した。
伝わってくる温かさに気が抜けて肩の力も抜けていくから、もしかしたらそれなりに緊張してたのかもしれない。
自分ではそんなつもり全然なかったのに……眞木に触れて初めてその事に気付いて。
ああ、これが甘えるって事なのかもしれないなとこっそり思った。
素直に態度に出したりはしないけれど。
多分、私は相当眞木に気を許して甘えてるんだと思う。
……言わないけど。絶対に。