強引男子のイジワルで甘い独占欲


「眞木に言い寄る人が特別厚化粧なだけでしょ。
私は基準レベルだし手抜いてるとかじゃないし大体そういうの口にする事自体かなり失礼だし」

メイクに手を抜いてるとか言われただけで口調を強めるのもどうかとも思うけれど。
振られたばかりなだけに、そういうところも要因のひとつだったのかもしれないとなんとなく思ってしまって、うっかり語尾が強まってしまった。

失礼って言えば失礼な言葉ではあるけれど、眞木は多分そういうの嫌味とかじゃなく普通に口に出してしまうタイプの人間で深い意味なんてないんだろうっていうのは雰囲気から想像がつく。
だったら、そこまで気にする必要なかったのに。

女心なんて分からないし知りたくもないって感じに見受けられるし、他の事に関しても恐らくそうなんだというのは私の勝手な判断ではあるけれど。
とにかく鈍感で無神経そうだなと、社内で飛び交っている噂と、今日ここに至るまでの経緯からも感じていた。

そんな風に考えている私も相当失礼ではあるのだろうけど、言葉にしない分眞木よりはマシなハズだ。

「そんな怒る事でもないだろ。
別にさっきの男は化粧がどうのって理由で木原を選んだわけじゃないだろうし」

鈍感だと思っていた眞木から、今まさにそんな事を考えていた私の思考を読んだような発言が出て驚く。
周りの事全般に鈍そうだし恋愛関係なんか殊更鈍いと思っていたのに。


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