強引男子のイジワルで甘い独占欲
「三坂だっけ。あいつもどっかの課にいたよな」
「……営業課。よく知ってるね。仕事では関わらないのに」
「顔見た事あるくらいだけど」
ふぅん、と呟いた私に、眞木が聞く。
「今そんな顔したりさっきあれだけ泣いたりするくらいなら、いらないなんて言わないで別れたくないってすがればよかっただろ。
なんですんなり別れる事を受け入れたんだよ」
少しこの人のことを誤解していたかもしれないとここにきて思う。
他人にまったく興味なさそうだから、慎司と私の事をいくら目の当たりにしていたからってこんな風に聞いてくるとは思わなかった。
どうでもいいと片付けていそうだし、第一、私の表情とか感情とかを見透かすような洞察力に長けている人だとは思わなかったのに。
もしかしたら鈍感ではないのかもしれない。
「それだけ色々鋭いのに、言い寄ってくる女に気のひとつも使わないのに理由でもあるの?」
「話が別だろ。ガンガンくる女が嫌だから冷たくしてるだけだし」
「でも、朋絵の告白は受けてたじゃない。ただ単に外見がタイプだっただけとか単純な理由?
朋絵、可愛いしね」
それなら話も分かるけど、と思いながら聞くと、眞木が顔をしかめた。