強引男子のイジワルで甘い独占欲


「別に木原が可愛いとか思った事もないけど。なに、木原って可愛い部類?」
「だと思うけど。昔からモテてたし。
ああ、でも、身内びいきっていうか私の欲目もあるかもしれないけど」
「身内?」
「うん。いとこ。知らなかった?」

てっきり朋絵から聞いてると思ってたけれど、眉をよせているところを見るとそうじゃなかったらしい。

「いとこに男とられたわけか。
しかし三坂も三坂だな。わざわざ佐野のいとこに乗り換えるとか……」
「――気持ち悪いからもうその話やめて」

目を伏せながら言った私を、眞木がじっと見ているのが視界の端で分かった。
だけどこれ以上この話をしたくないのは本心だったから何も言わずに無視していると、隣から「やめてもいいけど、その前に俺の質問に答えてないだろ」と指摘される。

すぐには分からずに顔をしかめて考えて、ようやく眞木の言うそれを思い出した。

『今そんな顔したりさっきあれだけ泣いたりするくらいなら、いらないなんて言わないで別れたくないってすがればよかっただろ。
なんですんなり別れる事を受け入れたんだよ』

答えたくなくてわざと話題を逸らした事だっただけに、誤魔化しきれずに苦笑いをこぼした。
そして、眞木が鈍感でも周りに興味がないわけでもない事を確信する。



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