強引男子のイジワルで甘い独占欲


「なんかね、佐野さんと工務グループの眞木さんが付き合ってるかもしれないとか、そういう噂をちょっと聞いちゃって」
「え、眞木……さんと?」

なんだそっちか。でもそっちはそっちでマズイ。

呼び捨てにしそうになった眞木に慌てて「さん」をつけた事に、小谷先輩は気づいていないようでホっとする。
慎司との事も気まずいから噂になったら嫌だけど、眞木との事が噂になったりでもしたら違う意味でマズイ。
眞木に言い寄ってバッサリ玉砕した女性社員から集中攻撃されそうだ。

その前に事実じゃないのになんでそんな話が広まってるんだろう。
そう考えて、先週のショッピングモールでの一件が頭に浮かんだ。

「ああ、そういえば少し前にたまたま出先で会って少しだけ挨拶した事があったんですけど、もしかしてそれが元になってそんな大きくなってるんですかね」
「あ、やっぱりね。おかしいと思ったのよー」

小谷先輩は、そう言いながらも、でも残念そうな顔は隠せずに続ける。


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