強引男子のイジワルで甘い独占欲


小谷先輩の言ってる事はよく分かる。
眞木が誰々を振ったって噂は嫌ってほど知ってるけど、その逆はデマと言えど一度もないのだから、今回の私との噂が突風のごとく広まってもおかしくはない。
それは納得できるけど……。
しかしその相手がなんで私なんだと肩を落としてため息も落とした。

本当に付き合っていたのは朋絵なのに、なんでそれが噂にならずに一時行動を共にしただけの私がこんな目に遭わないといけないんだろう……。
別に眞木と朋絵が噂になればよかったのに!なんて思ってるわけじゃないけれど、事実じゃないだけになんで私なんだと思わずにはいられなかった。

噂のスペシャリスト小谷先輩に嘘だって言いまわってもらえば数日で落ち着くだろうか。
……頼りないのは否めないけど。

「佐野さん。もうお昼だし食堂いかない?」
「あ、すみません。私買ってきちゃったので、休憩室なんです」

謝ると、小谷先輩はううんと微笑んだ後、もしかしたら少しの間はその方が賢明かもと言った。


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