強引男子のイジワルで甘い独占欲

「なんで……？」

ショックのせいか、奮いだした声が掠れていた。

素直な疑問だった。
だって付き合い自体はうまくいってないとは思っていなかったから、別れ話になる理由が分からない。

私は素直じゃなかったり勝気だったりするから、そういう面でケンカになる事もたまにあったけれどそれでも別れを意識するようなものではなかったハズだ。
少なくとも私はそう思ってきた。

どちらかと言わなくても、うまくいってるハズだったのに……それがなんで。

見つめる先で、顔をしかめたままの慎司が理由を告げる。

「ちとせが悪いわけじゃないんだ。もちろん、朋絵ちゃんが悪いわけでもない。
全部俺が悪い」

朋絵が悪いわけじゃない。
その言葉を聞いて、さっき漠然と感じた胸騒ぎを思い出した。

「彼女のいとことなんて、男として最低だと思ってずっと黙ってたけど……。もう限界だ。
もう、ちとせとは付き合えない。ごめん」
「……朋絵を好きだって事？」
「ごめん、ちとせ……」
「朋絵を好きだって事？」