強引男子のイジワルで甘い独占欲
コンビニよりはお弁当を作った方が安上がりから母親にお願いしてみたけれど、やっとお弁当作りから解放されたのに!?と思いきり断られてしまった。
だからと言って、自分で作るのは到底無理だし。
一日とか限定なら頑張って作ろうとも思えるかもしれないけれど、そうでもない限りは無理だ。
元々料理が得意じゃないし、そのためにわざわざ早起きしようとも思えないからもう多分絶対的に向いてないんだと思う。
だから、先週末のおばあちゃんちでの集まりでお母さんが言っていた、私に結婚は向いてないみたいな発言は至極当たっている。
「あーあ。嫁が欲しい……」
ポツリと女失格発言をこぼしながらメロンパンを頬張った時、目の前にドンと荷物が置かれて肩がすくんだ。
置かれたのはお弁当箱だけど、なんでこんな空席だらけの部屋で目の前にと、顔をしかめてお弁当の持ち主を見上げて……驚いた。
「嫁? 佐野、女だろ」
そう聞きながら、眞木が向かいの席にドカっと座る。
現場仕事の眞木が作業着なのは当たり前だけど、初めて見るから新鮮だった。
黒のつなぎがとにかく似合っててカッコいいって噂は聞いた事あるけれど、確かにスラっとした体型の眞木にはよく似合ってる。