強引男子のイジワルで甘い独占欲
強い口調で聞いた私に、慎司がためらった後黙って頷く。
その姿に、脳みそがサラサラと海岸の砂みたいに崩れ落ちていくのを感じた。
頭の中が真っ白になっていく。
「彼女のいとこに乗り換えるなんて男として最低だから、私と我慢して付き合ってたって事ね……。
本当は、さっさと私から朋絵に乗り換えたかったのに。
で、朋絵が他の男の隣にいるのを見てついに我慢できなくなってこのタイミングって事ね」
呟くようにもらした言葉に慎司は何かを言おうとはしていたけれど、結局何も言わずに口を閉じた。
――肯定だ。
真っ白になった頭の中に、悲しさだとか悔しさ情けなさ、色んな感情が渦巻いていって制御不能になる直前の警告音が響いていた。
「ちーちゃん、ごめん、私……っ」
「……もういい」
謝りながら腕に触れてきた朋絵の手を静かに払いながら、慎司と朋絵、ふたりに背中を向ける。
……見ていられなかった。
「もう、いらないから。付き合うなりなんなりして」
「ちとせ……」
「早くどっか行って。もう見ていたくない」
一刻も早く視界から消えて欲しかった。
じゃないと、すぐにでもしゃがみ込んじゃいそうだったから。