強引男子のイジワルで甘い独占欲


ここ二週間で色々話したけれど、眞木も最近休憩室デビューをしたらしい。
理由は会社の近くに引っ越したら今まで通勤時間に使っていた時間が激減して時間に余裕ができたからだって言っていたけれど。
そもそも、もとから料理好きなんだと思う。

だって私だったら絶対に余った時間を利用してギリギリまで寝ていられるラインを探りにかかるのに、目覚ましの時間は元のまま朝からせっせとお弁当作りなんて好きじゃなきゃやっていられない。

あと話したのはくだらない事ぐらいだけど、そのくだらない事でも意地の張り合いみたいになって何度か険悪な空気になった事がある。
それに、お弁当代として厳選して買ってきているデザートがどっちがいいかでケンカ寸前までいったり。

そういう事は多分、お互いの譲らない性格が原因なんだろうけど、そんなケンカもどきなものを繰り返しながらも、眞木との時間は割と楽しいものに感じていた。
楽しかったからこそ、色々盲目になって気づくのが遅れた……というより、忘れていたんだと思う。

休憩室と言えどそこは社内で。
そして、相手が社内でトップ人気を誇る男だという事を。

「ねぇ、佐野さん。今社内に広まってる噂知ってる?」



< 69 / 226 >

この作品をシェア

pagetop