強引男子のイジワルで甘い独占欲


なのに。
パソコンやデスクワークをしながらチラチラと視線が突き刺さってくるのは、眞木のネームバリューのせいなのか。

今まで眞木関係でたった噂といえば誰かをこっぴどく振っただとかそんなのばかりだったから、友好的な噂は私の知る限りでは初めてだし気になるのも分かるけど……。
普段感じない視線の束は、正直言って不愉快だ。

「仲いいって言っても、たまに社内でお昼一緒にとるくらいですけどね」
「それでもすごいじゃない! お昼誘って断られた人たくさんいるんだから」
「多分、私が思った事なんでも口に出しちゃうから眞木も気使わなくて済むってだけですよ。
眞木、媚売るような態度の人が嫌いって言ってたし」
「そうなの? ああでも今まで散々モテてるから、下心があるように感じて嫌だっていう理由かしら」

それなら分かるかもしれないと頷く小谷先輩には、私よりも眞木の気持ちが分かるんだと思う。
眞木ほどじゃないにしても、小谷先輩だって社内ではモテる部類に入るし、言い寄られてるところも何度か見かけてるから。

女の下心の方が男のそれよりも単純ではなさそうだけど、どちらも元を正せば相手を自分のモノにしたいって事だろうし。

そういうのって、好意のない相手から向けられたらあまりいい気がしないのは私でも分かる。


< 71 / 226 >

この作品をシェア

pagetop