強引男子のイジワルで甘い独占欲
「でも、今まではそこまで気にした事ってなかったの。
学生時代も同じ会社に入社してからも、事あるごとに色んな比較する言葉をかけられてきたけど、気にならなかった。
強がってるわけじゃなくて、本当に、また言ってるのかってそれぐらいの気持ちでいたから」
いつもの事だしもう慣れっこだった。
それに、朋絵と自分を比べたところでどうにもならないしそんなのくだらないとさえ思っていた。
自分は自分だって、そう思えていた。つい三週間前までは。
「だけど……さすがに今回みたいに直接朋絵を選ばれたのはもしかしたら結構堪えたのかも。
あの事があってから、今まで親戚に言われてきた言葉が一気に重たくなって降りかかってきた感じ」
――朋絵ちゃん、すっかり大人の女性って感じね。
――家事もできるらしいじゃない。ちとせちゃんも見習わないと。
笑って聞き流せてきた言葉が、今になって重くのしかかる。
たまたま慎司には朋絵がよかっただけの話なんだから気にする必要なんてない。
比べる必要も、自分を卑下する必要もない。
それを分かっていても……大きな粒となって降りかかってくる言葉の滴がつらくて堪らない。