強引男子のイジワルで甘い独占欲
比べたって仕方ないのにね、なんて言いながら笑おうとしたのに。絞り出した声が震えていた。
「やだ、なんか……喉が変……」
そう誤魔化してどうにかして笑おうとするのに、どうやっても笑えなくて……しまいには歩くこともできなくなって俯いて立ち止まってしまう。
そんな私に気づいた眞木は、私より一歩進んだところで止まった。
頭上から突き刺さってくる得体の知れない矢の束に射抜かれた心から、色んな負の感情が溢れ出して抑えきれない。
これ以上話していたら泣き出してしまうのが分かっていたから、俯いたまま眞木に先に行ってと言ったけれど、眞木は動こうとしなかった。
視線を足元まで落としていたけれど、眞木が私をじっと見ているのが分かった。
「佐野」
「情けない顔してるから見ないで。空気察してどっか行って」
得意分野でしょ。空気読むの。
吐き捨てるようにそう言った私に眞木が近づいて。
そして、私の手をとって握った。