強引男子のイジワルで甘い独占欲
「空気は察してるけど」
握られた手に驚きながらゆっくりと視線を上げて、まっすぐに見つめてくる眞木の瞳に行きつく。
真面目な、眞木の瞳に。
「佐野放ってどこにも行きたくないからここにいる」
「……お昼休みなくなるよ」
「別に昼抜いたくらいで死なねーだろ」
「自分勝手なくせに気使うとか……バカじゃないの」
バカじゃねーと呟いた眞木の顔が涙で滲む。
私を見て微笑む眞木がキラキラして見えたのは、涙のヴェールのせいなのかそれとも別に理由があるのか。
人通りのない静かな廊下。
右手に感じる眞木の体温。
頬を流れ落ちる、涙の熱さ。
無言で慰める眞木に、力強く握られた手をそっと握り返した。