強引男子のイジワルで甘い独占欲


ずっと、落ち着いていてふんわりした雰囲気を持ってる子だと思っていたけど、そうは見えなかった。
挙動不審ってほどではないけれど、少しおかしい気がする。

慎司と付き合い始めて変わったとか……と考えてから、でも慎司も落ち着いている性格だし考えにくいなと思い直す。

どうしたんだろうと観察するように見つめながら、今度は私から質問をした。

「眞木の事、告白するくらい好きだったんでしょ?
どうして慎司に心変わりしたの?」

こんな事社内で話すべき話題じゃないのは分かっていたけれど、どうせ慎司と朋絵の事も、私と眞木の事も噂になってるんだしと頭を切り替えた。
それにここは休憩室に続く廊下で、幸い人通りはほぼ皆無に近い。
誰かが通りかかったとしても休憩室から出てきた眞木くらいだ。

そんな風に思い開き直った私に、朋絵は答えを迷っているのかなかなか目を合わせなかった。
それでも待っていると、目を逸らしたまま朋絵がようやく口を開く。

「顔だけでしょ、眞木さんて。だから」

随分待った挙句もらった答えはあまりに意外すぎて、言葉を失ってしまう。
朋絵の口からそんな言葉が出たのも驚いたし、眞木がそんな評価されてしまう事も信じられなかった。


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