強引男子のイジワルで甘い独占欲


慎司との事を考えるとツラくなるのは確かだ。
悔しいというか、悲しいに近い感情に支配されて動けなくなりそうになる。

それは、慎司は私にとって大切な人だったしいつも隣にいてくれた人だったから、当たり前の事ではあるけれど……正直に言えば、今だってツラくなったりする。
落ち込む。

それを考えれば。もしも恋愛に勝ち負けがあるとしたら、今回は私の負けだ。

珍しく勝ち負けにこだわっている様子の朋絵にそう言うと、負けを認めた私に満足するどころかまた表情に険しさが増してしまって。
本当にどうしたんだろうと心配になって声をかけようとした時、朋絵が背中を向けた。

「ちーちゃんは自分の意思をしっかり持ってて、いつでも自分の気持ちにまっすぐで……。
みんなちーちゃんの事褒めてたけど、私はちーちゃんのそういうところがずっと嫌いだった」

朋絵、と声をかけるより早く、朋絵がすたすたと歩きだす。
私はと言えば、朋絵の態度があまりに衝撃的だったからすぐに動くことはできなくて。

しばらくぼんやりと朋絵の後ろ姿を眺めていた。



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