電波的マイダーリン!
振り向かなくてもわかるけど、でも条件的に振り向いてしまうのは人間の性で。
目を見開いて振り向いたあたしの視界に映ったのは、腕組をしてあたしとカイトを捉える、レンズ越しのその瞳。
特に怪訝な表情をしているわけでもない。
驚いている様子もうかがえない。
だから逆に、
その恐ろしいほどの冷静さが、あたしの身体を硬直させた。
「……え、な……なんすかー伊吹くーん?隠してるって何を…」
「下手な嘘、吐かなくてもいいですよ、千早さん。なんとなくわかってましたから」
震える声で、硬い笑顔でこの場をやり過ごそうとしたあたしに、伊吹は興味なさげに言葉を発する。
「最初から気付いてましたし。そもそも、おかしな点はたくさんあったんですが。
家出してきた人をかくまってるって、普通ありえませんよ。
仮にあったとしても、その前に家出しようと考える人が、人の家にのこのこ上がり込みませんから。
警察に届けを出されたらそこで終わりですしね。
それと、その洋服。
念入りに家出の計画を立てていたのなら、洋服を数枚持っていてもおかしくはないかもしれませんが…。
念入りに計画を立てたのであれば、こんな見ず知らずの家に転がり込むような真似はしませんよね。
…いえ、それよりも、洋服がヤケに新しいところが不自然なんです。
…最後に、千早さんの、カイトさんに対する態度。
あまりにも無防備で馴れ馴れしいですよね。
おかしくないですか?
いくらクラスメイトでも、家出をして住まわせているだけの人に、そこまで近づきますか?
素性も知らないのに?」
…………。
……お……
…お主はどこぞの探偵ですか……!!!!(驚愕)