電波的マイダーリン!
でも花梨はやっぱり上の空って感じで、ストローを咥えたまま、ガラスの向こうの街を眺めている。
この人、大丈夫なんだろうか…。
と、本気で不安になってきた頃、やっと花梨がこちらに視線をよこした。
「一ノ瀬くんも、不器用よねぇ…?」
…………。
……はい?
「不器用!?カイトが!?ないないないないありえない!!!!」
あたしは当然というように目を丸くして、口元だけで笑顔を作り手刀を切る。
「だってカイトだよ!?ヤツはなんか無防備晒しとけば容易く襲ってきそうな人種だよ!?不器用だなんてありえない!!
…っていうか、キャラ的にない!!!!」
マンガのキャライメージが定着している、イコール、ああいうキャラに欠点はないっていう方程式ができてるあたしは、自信満々で胸を張る。
けど、花梨はそんなあたしを冷めた目でジトッと、見上げるようにして睨んでくる。
「なっなんすか…?」
「ダァメねぇ~!!」
突然、諦めたように椅子の背もたれに寄り掛かって、ため息交じりに声を張り上げた花梨。
眉間にはしわが寄りまくっている。
「な…なにが…ダメ…なんすか…?」