電波的マイダーリン!
「おぉ――ッッ!!!?すっごー!!うさぎさん掴んだ!!」
上手い具合にキャッチャーに引っ掛かったぬいぐるみ。
取り出し口に落ちたそれを手に取り、茉莉に渡す。
「ちー姉ちゃんすごー!!」
「ふふん♪こんなの序の口だよ~♪」
「え、じゃあまだ凄いの!?」
「まかせたまえー♪」
と、胸を張ってみせる。
天狗状態のあたしの横を、その時スッと通り過ぎた伊吹は、UFOキャッチャーに手をついて。
チャリンとお金を入れた。
「え゛っ…」
それはホントに、無駄のない動作。
全てにおいて無駄がなかった。
伊吹は猫のぬいぐるみを取りやがった。
「……い、伊吹さん…それはマジっすか…」
「…何がですか?」
「これ、やったことあるの…?」
「いえ、今日が初めてですけど」
カッチーン
伊吹の冷静すぎる言葉にムカついたあたしは、その後、次々にゲームを制覇していくわけで。
だけど伊吹もやってくれちゃうわけですよ。
「眼鏡の秀才野郎は勉強だけしとけコンニャロォオ――ッッ!!!!」
「遠慮します。」
「ムキーッ!!」
「あ、僕の勝ちです」
「なぬっ!?」
いつの間にか、ぎこちない雰囲気の消えたあたしたちを、茉莉は穏やかな表情で見つめ。
そしてその場を離れて行った。
けれど、あたしと伊吹は、そのことに全く気がつかなかった。